息切れ

遠く離れた所に住む方と通信教授をしています。

 本当に熱心な方で毎回かなりの質問、練習量でその進歩も目に見えるようです。

 ただ残念ながら直接手を添えてお教えすることはできません。

 出来るだけ言葉でお伝えしたい思いますが、なかなかそれが難しいのです。

 今回は、、、漢字

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 とても丁寧に細部まで書き込まれています。
 でも細部にこだわるあまり、全体像を忘れているのでは?

 一画一画に拘って一字の息が続いていないのです。

 つまり”息”が切れてしまっています。

 息が切れる、、、と云う事は、その文字は死んだも同然。
 残念ながら文字としては生気が感じられません。

 一つの画から次に行く時、どの方向に筆を抜くか!
 これがとても大事なこと。

 筆を抜く方向で次の画が決まってしまいます。

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 漢字、特に楷書を書く時、どうしても形が気になります。(と、言うか形のみを気にしてしまいます)

 勿論美しい形は大切ですが、、、

 それ以外の事、文字から感じる生き生きさ、豊かさ、温かさ、優しさ等など。

 生きた文字であるからこそ感じられる魅力!

 かの有名な野口英世のお母さんの手紙。

 たどたどしく書かれた、でも親としての切々たる思いが籠ったお手紙。
 その文字はけっして美しい形ではない。
 でもなんと心の籠った文字であることか、、、

 形とは上辺のこと。
 その芯の部分が何を語っているかが大切なのだと思います。

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 楷書はバランスが取れ、気持が籠っていればそれで十分です。

 形にとらわれない芯の有る力強い文字が書かれるよう祈っています。

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