車は北に向かって走っていました。
予定では台風通過でしたが、幸いそれもそれて青空が、、、、
現れては消えるトンネル、、、7,8個もあったでしょうか?
トンネルを抜けるごとに山であったり、、、海が見えたり、、、
「オヤッ!?二つ連なって、、、」
150キロほど離れたかの地ではもう、紅葉が始まっていました。
オゾンが一杯の旅は心の澱みを洗い、ふと、、、菊池寛の小説「恩讐の彼方に」を思い出しました。
旅は時に人を癒し、遙か遠い日々を思い出させてくれるようです。
父は、、、子供の私に、それはそれは沢山の話をしてくれました。
その中の一つに「青の洞門」==あの菊池寛の「恩讐の彼方に」がありました。
仇持ちの僧の命を懸けた大願、、、三町をも越える大磐石を掘貫くことに打ち込む姿。
その神々しいまでの姿と、彼を取り巻くそれぞれの思い、、、小さかった私は父の話に引き込まれ息を凝らして聞いていました。
特に「了海さまをなんとするのじゃ!」、、、と、石工たちが身を挺して立ち向かう場面では、これからどうなるのかとハラハラドキドキ、、、
生きる事の苦しさ辛さ、人情、心と心の通じ合い、それこそ恩讐を越えたところにある喜び、、、などなど、小さい私はイロイロな事を感じていました。
もう、ストーリイは分かっているのに何度聞いても胸が一杯になるお話でした。
トンネルは、空気の温度も、流れる風もちょっと違って、何処かファンタジックでちょっと怪しく、空想を膨らませさせる不思議な空間です。
気がついたら、目的地は父の生まれ故郷の直ぐ近く、、、
ちょっと懐かしい香りがしました。
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