遠い記憶

雨の中、笛や太鼓が近付いて来る、、、子供たちの掛け声に懐かしい日々を思い出しました。

 昭和二十四、五年ごろの夏祭り、、、、

 人々の楽しみは季節ごとの年中行事。特に夏祭りは老若男女を問わず楽しみとしていました。

 年配の町役は揃いの浴衣に夏羽織。ステテコに白足袋、畳表の草履を引っ掛け、腰にセンスを挟み、頭にはカンカン帽のスタイル。

 祭りに参加している若者は肌襦袢にはどんぶりの腹がけ、股引に足袋裸足。祭り半纏も粋に、豆絞りの鉢巻、背には祭りの団扇。

 子供たちは、、、お金持ちのお嬢さんは金棒を引き、花笠を背に友禅の着物を片肌脱ぎ長襦袢も艶やかに、袴をつけ、足元は白足袋に草履。顔は綺麗にお化粧をし、髪は手子舞(てこまい)のように結い上げ行列の一番前に、、、、

 小学校低学年だった私は子若の半纏は買ってもらえず、運動シャツに紺色のブルマー。頭は手拭で鉢巻をしていました。

 笛の音が聞こえると居てもたってもいられず、山車を探して走りより、声を限りにわっしょいわっしょいと張り上げ一晩中付いて歩きました、、、三歳下の弟が迷子になったのもきずかず。
 
 何処まで来たかも解らず、行った事もない町内でぺったり座り込んでいました。
 
 心配して探しに来た父の姿に我に返り、自分の行動を知りました。(ナゼか不思議に叱られませんでした))

 一番うれしかったこと、、、それは、途中で出される「おやつ」、、、じゃがいもをソースで煮たもの(当時としてはご馳走の部類)でした。

 お昼ごはんはおにぎり二個と鰹を甘辛く煮たもの。

 今のみなさんに解って頂けるでしょうか、、、、

 戦後間もない日本の姿。

 食べるものもなく、娯楽も少ない時代、、、、でも心は充分に豊かな時代でした。

 遠い記憶、、、思い違いも多々あるでしょうが、祭りの音と共に思い出される懐かしい日々です。

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