混みこみのアンティークフェアー、一歩足を入れると独特の匂いがしました。薄暗い隅の方に何かを感じました。
よれよれの皺皺の「桃太郎」が掛けてありました。
「安くしますよ、、、」の店主の声に、立ち止まると、傍らにたっているお猿さんが何か言いたそうに見えました。
どうしようかな~~~
その場を去るにされず、求めて帰りました。
痛々しい桃太郎でした。折皺だらけで、薄汚れ縁は摺れていました。
どうにかしなくちゃ!
表具やさんに、「お手間を取らせる品なので急ぎませんから、、、」と、お願いしました。
「ちょっと繕いが大変でした、、、」
「それはそれはご迷惑をお掛けしました」
あの折皺は丁寧に一本ずつ修復され、裏打たれ見違えるように美しくなって出来上がってきました。
これがあの「桃太郎!?」
洗われて色を増し、くっきりと鮮やかに華やかになっていました。
以前は気付かなかった細部の筆致も細やかに
なんと桃太郎の目にはまつげまで描き込まれていました。
そして落款には八十翁の署名が、、、おん年八十歳のご老人の渾身の作?
細かい文様の一つ一つにその思いが込められているようでした。
名品?です。少なくとも私には素晴らしい作品に思えました。
あの時、桃太郎に呼び止められたのは、何かの巡り会い、、、だったのでしょうか?
大切にしようと思っています。
手間暇惜しまず仕上げて下さった表具やさんに感謝して、、、
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