数知れない明かりに包まれ城は聳えていました。
薪能を見るのは初めてのこと。
松林には能舞台がしつらえられ、篝火が赤々と炊かれ主役の登場を待っていました。
辺りに夕闇が迫る頃、それは静かに始められました。
松の木々の間を笛の調べが通り抜け、太鼓,小鼓の音が響き渡ると一同はかたずを飲んで見守りました。
聞くところに寄れば、元々は戦場で慰みに始められたというこの薪能、
荒々しい心を舞いで慰めようと言う心の優雅さ、武人としての心得の高さ。
命がけの戦の中で、、、、その「時」をどう受け止め、どう耐えたのか計り知れぬものがあります。
今夜のこの時を大事にせねば、、と目を凝らしました。
舞囃子「富士太鼓」 狂言「寝音曲」 能「班女」
茂山千作 観世栄夫 近藤乾之助 宝生閑
人間国宝をはじめとする豪華メンバーの舞台は予定時間を越えるほどの力の入ったもので、
当に値千金、世阿弥曰くの「寵深花風」がちょっと解ったような気分でした。
コメント