条幅作品の審査をしました。
毎月の規定課題
随意作品
今月は随意から一枚
空海の風信帖。
課題以外から何かを選ぶ、、、その基準は様々な理由からだろうと思いますが、初心の方は師事している先生から肉筆手本を頂かない時は、なるべく元の物が墨で書かれたもの(拓本でなく)をお勧めします。
その点風信帖はとても良い選択だったと思います。
梅原猛先生は、、、、
「その手紙の中には世界がある。ひどく強健な書体があるかと思えばひどく艶麗な書体がある。
空海の字はやはり一つの宇宙ではないかと思う。
それは宇宙のリズムの表現であろう。山あり、海あり、空あり、地あり、世界が彼であり、彼が世界である。」参考 中央出版社 「書道芸術 空海」
と、言っている。
私は梅原先生の如く確たる世界観はありませんが、とても心惹かれます。
繊細で麗しく、涼やかで馥郁と匂い立つものが感じられ、 一方行間から汲み取れる精神性の高さは、言うまでもなく、、、数ある書の中でも別格!
初心の方でも入りやすく、でも求めれば求めるほど奥深く、書き手の覚悟と清い心が必要?のような気がします。(美意延年 2006,9,13)
先ずはその姿の美しさを臨書するところから、、、
基本はバランスの良さ、一見優しげに見える中にしっかり構築された造詣は何にでも活かせる確たるものがあります。
そして本来手紙文として書かれているのに(私情、後の人たちがお手本として崇め祭るものとしては書かれていません。それなのに、、、)正々堂々としてあくまでも爽やか!
次にリズム、、、3通の手紙文の中には書き進むうちに気持ちの高まりを感じるところもありますが、今回のこの部分はさほどの動きもなく臨書するには落ち着いて書くことができます。
いよいよ作品とする
先ず一行の筋が通っていますか?
一字毎にあっちへ行ったりこっちに来たり、かなり乱れています。
それは一時づつ書いているから、、、つまり全体を見ることができていない。
ましてや、二行の呼応など、、、?
どうしてこうなってしまったかと云うと、要するにそこまで書き込んでいない!
枚数が足りない!のです。
条幅をかくと云うことは可なりの経験が必要です。さもなくばそれに匹敵するくらいの練習量が必要だと云う事。
一字づつが書けて、一行が書けて、二行が纏まり、そして全体を見渡してうまく二行が響き合うことが出来て、やっと作品になるのです。(一行に何文字入れたらよいか再検討の要あり)
いかがでしたか?
半紙の2.30倍の力がないと条幅はなかなか纏まりません。
でもそれを頑張って書いていく内にどんどん力がついて行きます。
作品を書いたら自分で良く見ること。
何度も何度も眺めているうちにいろいろなことが見えてきます。
それが次の作品に活かせられるようになるといいですね。
是非頑張ってください。
来月はどんな作品が出品されるかとても楽しみです。
守真 記
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