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百人一首から二首

なつのよはまだよいながらあけぬるをくものいずこにつきやどるらん
いらつゆにかぜのふきしくあきののはつらぬきとめぬたまぞちりける

2×6の紙に大字仮名を


立原道造詩  「夢見たものは、、、、」

書いているうちに文字が動き始め、いつの間にか左に流れていました。

 

 李賀「河南府試十二月楽詞並びに閏月四月」よりその一節
 
 仙山の濃緑雲外に生ず
 依微たる香雨青氛氳たり

 
 *李賀について

 今回作品の題材を探しているとき李賀(中唐の詩人)に巡り合いました。
 その詩は甚だ幻想的で鬼才と評されたとか。
 彼は文学的に早熟で14歳にして名声を得ていた が、思わぬことで失意のうちにこの世を去ったと。
 しかし、その独特の詩は不朽の輝きを持ちに今もなお沢山の愛好家がいるという。
 因みに泉鏡花、芥川龍之介、日夏耿之介三島由紀夫など、この方たちの好みどこか同じものを感じます「耽美 幻想的 幽遠、、、、」など。

 私が目を引かれたのは『氛」ふん『氳」うんの二文字。

 その形、表情、意味も。
 
見たこともないこの言葉に、「書きたい!書いてみたい~~~」と。

辞書を引くもその言葉が見当たらずあちこちと捜しました。
よくよく評伝を読むと彼はよく造語をしたと言う。

納得!

でもこの二文字、辺りの景色が目に見えるよう~~~
景色のみならずちょっと暖かな空気。辺りを包む湿り気。靄。靄の中の緑の山々など風景が目の前に浮かんでくるのです。

紙は?

大分古い型打ちの唐紙、ちょっと穏やかな緑色。
書き手以外はオーケーです。

 肥痩で表情をつくったつもりですが果たしてうまくできたかどうか?
 いいのです。

 うまくできなかったからこそ ”次”があるのです。

 「次回こそは!?」

 頑張ります。

 それにしても、、、、生前はあまり良い評価を得られず失意のうちに卒した李賀が1200年もの後の私の目に留まる!
 どこかロマン?ご縁?を感じました。

 世の中って面白いですね、、、

 オマケ
 この作品を見た友人が、
 中国の山々が本当にこの用紙の如くに木々に覆われ
 とても良く、その様子を表していると言ってくれました。
 夏に向かう山々の、少しむっとするような空気感、湿気が
 詩の思いを助けてくいるとしたら
 用紙の力、有難いことです。

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